[sweet!sweet!sweet!]



つり球アキ夏本
R-18
コピー本/24P/200円
アキ夏×食べ物+セックス的な短編集
→※完売しました


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01
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「っあ、ぁぁ、……」
 塞いだ手のひらから零れる声。密やかにしようと思えば思うほど淫猥に響くそれ。夏樹は息苦しさで涙目になりながらも唇から漏れさせまいと手のひらを唇に押し当てる。
 まだ夜も明けない江ノ島はほんの少しだけ肌寒い。長袖のジャージはかろうじて肩に引っかかっているけれど、さっきから上下に強く揺さぶられているので、落ちてしまうのも時間の問題だろう。
「は、ぁ、アキ、ラ……」
 見下ろせば視線が絡む。ぐしゃぐしゃとかき回した後頭部の髪が跳ねている。それに気づいているのかいないのか、アキラ
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02
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「かわいいの飲んでるね」
「……間違えたんだよ」
 からかうような声音。クラスメイトであり友人であり釣り仲間であるユキは、自分の前の席に座った夏樹にそう言って小さく笑いかける。ユキの席の前は誰もいないのを夏樹は知っている。だから、最近昼休みはよくここに座っていた。無意識ではなかった。ユキはきっと気づいているけれど、暗黙の了解というやつだった。
 イスに横向きに座った夏樹の手に握られているのはピンク色のパッケージ。後ろに書かれた原材料によれば、いちご果汁に牛乳と糖類、それにたくさんの添加物が混ざっているようだっ
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03
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 日曜日の夜。一日中デートだなんだと連れ回されて、夏樹は不満と充実がない交ぜになったなんとも言えない複雑な気持ちで助手席に座っていた。
 運転席でハンドルを握るアキラは何も言わずに江ノ島方面へ向かっているようだった。誰もいない海岸から入るのを臆する高級レストランまで、好きに連れられるのは思ったほど嫌ではなかった。島と学校以外ではあまり出歩かない夏樹には新鮮だったし、ただそれを表に出すのはどうにも気恥ずかしい。結局いつもぶっきらぼうに接してしまう。そんな心情を知らないだろうアキラは、まるで機嫌を取るようにドーナツ屋の前に車を止め、買って来た紙袋を夏樹の膝の上に置いて車を再び走らせ